インタビュー
2023.07.24
「重過失」という概念を明確化し、民事訴訟実務の場で活用できるようにアウトリーチしていく
法学研究科 民事法学専攻 博士後期課程 1年 星山 琳さん
明治大学 法学部 2019年度 卒業(早期卒業)
大学院に進学したきっかけや理由を教えてください。また、大学院進学にあたり、明治大学大学院を選んだ理由を教えてください。
大学3年時に、早期卒業制度を活用して卒業しようと考えており、法科大学院に進学するか、法学研究科に進学するか悩んでいました。もともとは検事を目指していましたが、学習の中で「なぜなのだろう」と疑問に思ったことを突き詰めて、明らかにしたいという自身の性格から、法を研究する道の方により適正があるのではないかと考え、法学研究科に進学しました。明治大学大学院に進学した理由は、大学のゼミでもご指導くださった林幸司教授に引き続きご指導いただきたいと考えたことや、院生に対するサポートが非常に手厚いことがありました。
ご自身の関心や研究テーマについて教えてください。
私の研究テーマは「重過失」という概念の程度を明確化し、民事訴訟実務の場で活用できるように積極的にアウトリーチをしていくことです。民事法では、裁判官によって「重過失」があったと認定されるか否かによって、望んだ法律効果の発生が左右される場合があります。それにもかかわらず、この重過失の解釈をめぐっては、重過失の「重」という程度は「わざとやった」故意と同等の非難の程度であるとする見解もあれば、対照的な概念である「軽過失」程度の非難の程度をも含むような幅のあるものだとする見解もあり、はっきりとしない状況なのです。つまり現状では、裁判官は基準が不明であるのに「重い」過失か否かを判断しなければならず、困難な状況に陥っているのです。そこで、歴史的に重過失がどのように作り上げられたのかといったところから研究を進めることでその程度を明らかにし、その成果を実務に届けることを目標としています。
平日の代表的な1日のスケジュールを教えてください。
6:00 | 起床、朝食等 | |
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8:00 | 登校、研究 | 通学時間に論文を読んだり、語学の学習に取り組んだりしています。 |
12:30 | 昼食等 | |
13:30 | 授業 | |
15:10 | 研究 | |
21:30 | 帰宅、夕食等 | 家に帰るまでの時間も通学時間と同様に学習に取り組みます。 |
22:30 | 研究 | |
24:30 | 就寝 |
大学院に進学してよかったこと、大学院に進学して身に付いた能力等について教えてください。
相手に自分の研究や考えを効果的に伝える方法を身に付けることができたことです。大学院では、大学に比べて自分の研究について発表する場面が多くあります。さらに、発表する相手は同じ分野を専攻する人に限られず、学術振興会の特別研究員の申請など学外に発表する機会に目を向ければ異なる専攻の人が相手であることの方が多いほどです。そのような場面で、「理解できないのは相手のせい」と考えるのではなく、なぜ理解してもらえなかったのか原因を考え続けることが大切であると思います。なぜなら、どんなに素晴らしい研究成果を出すことができたとしても、その成果を他者に理解できるように説明できなければ、何もなかったことと変わらないからです。そのため、自分の研究や考えを伝える訓練をする機会に恵まれ、その能力を身に付けたことが大学院に入学して良かったことです。
大学院修了後の進路をどのように予定しているか教えてください。
大学の教員・研究者として就職したいと考えております。就職後には、自らの研究をさらに発展させていくことは当然のこと、身に付けた「伝える力」を活かして積極的に研究成果を発表していきたいと思います。また、プレFDの受講などによって得た知識なども併せて学生に伝えたいことが伝わる教育を実践していきたいです。そのことにより、研究成果等を最大限社会に還元できるように取り組んでいく所存です。
趣味や自由な時間の過ごし方について教えてください。
美術館や博物館に見学に行くことが多いです。例えば、根津美術館や東京国立博物館には散策できる庭もあり、気分転換には最適です。明治大学は多くの美術館・博物館の会員制度に加盟していることから、無料で利用できる施設もあるのでとても助かっています。
進学を検討している方へのメッセージをお願いします。
明確な目標を持ち、それに向かって必死に取り組む意欲のある人にとって、大学院は最高の環境を提供してくれる場です。ただ中途半端で投げ出したとき、一番つらいのは「他の誰か」ではなく「自分」ですので、研究を絶えず継続する意志を強く持ち続けてほしいです。
※掲載内容はインタビュー当時のものです。