インタビュー
2023.03.23
農業生産者の役に立つ研究を行いたい、農業生産者を支援できる人材を育成したい
農学研究科 農学専攻 博士後期課程 2021年度修了 佐伯 爽さん
明治大学 農学部 卒業
福島大学農学群食農学類プロジェクト研究員
現在どのようなお仕事をされていますか?また、研究職を志したきっかけや理由を教えてください。
現在、福島大学農学群食農学類の研究員として大きく2つの仕事に取り組んでいます。
1つ目は、東日本大震災に伴う「原子力災害」が生じた地域における営農再開支援に係る研究です。一度、農作物の生産がストップした地域では、いかに営農を再開するかが課題となっています。そこで、地域の条件にあった新たな農作物の導入や栽培法の構築を通じて、営農再開支援につながる研究を行っています。
2つ目は、大学4年間を通じた「教育プログラム」の開発です。災害以降、課題が一気に顕在化した福島県にある大学であるからこそ学べる学修プログラムの設計やその学生指導にも携わっています。
このように、教育研究職を志したきっかけは、「地球温暖化が進む中でも、生産者が困らないような研究をしている」先輩研究者の姿を見て、私自身も農業生産者の役に立つ研究を行いたい、そして、農業生産者を支援できる人材を育成したいと思ったことでした。これが現在の職を選んだきっかけにつながっています。
現在の研究テーマや大学院で研究していたテーマについて教えてください。
「農業生産」と「災害」が主な研究テーマです。
明治大学大学院在学中は、マンゴー樹の洪水被害や、洪水によるマンゴー樹の枯死メカニズムの解明について研究していました。これは、近年頻発している洪水条件下でも、果樹生産を継続的に行うことができるよう、その対応策を確立するためです。
福島大学では東日本大震災に伴う「原子力災害」後の、各種農作物生産の再開支援に関わる技術開発をテーマとしています。
明治大学大学院在学中も福島大学でも、頻発化する多様な「災害」に対し、強靭な農業生産体制を確立し、生産者が安心して「農業生産」を続けられる環境づくりをテーマに日々研究を続けています。
大学院に進学したきっかけや理由を教えてください。また、大学院進学にあたり、明治大学大学院を選んだ理由を教えてください。
大学院に進学した理由は、取り組み始めていた「マンゴーの洪水被害」に関する研究について、さらに継続したいと思ったためです。さらに、その想いに対して、しっかり指導してくださる指導教員の存在も進学を決断できた1つの理由です。
一方、大学院進学を考えるにあたり、学費の工面など経済的な不安があったのは事実です。明治大学大学院の場合、大学院生対象の支援制度や、特に、博士後期課程においては「助手制度」など、経済的な不安に対してのサポート制度が他大学大学院に比べて充実していたのも、明治大学大学院への大学院進学を後押ししてくれました。
大学院に進学してよかったこと、大学院に進学して身に付いた能力等について教えてください。また、大学院に進学したことが、現在、どのように役立っているか教えてください。
これまでに誰も解明していない「何か」について、とことん突きつめて取り組む時間が与えられることが、大学院に進学してよかったことだと思います。普通に就職していれば日々の仕事に追われ、現在のような進路には進めていなかったと思います。さらに、とことん突きつめて研究を行う中で自然と「問題発見・解決能力」が身についていきました。
この「問題発見・解決能力」は、現在の職場において重要なスキルであり、現場生産者の声を吸い上げ(問題発見)、現場や大学で問題解決に取り組む(解決能力)といったように、現職の業務に欠かせないものです。
進学を検討している方へのメッセージをお願いします。
急いて就職するのも良いですが、少しでも大学院進学が視野に入っていれば、門戸をたたいてみてください。かけがえのない経験が得られるはずです。
※掲載内容はインタビュー当時のものです。